2019.9.28 知識
初期脱毛は薬が効いている証拠！
AGAは市販薬を使った自己対処では改善が難しいので、しっかりと治療したいのならば医師の手助けが必要になります。医師はAGA治療に有効な処方薬や治療法を適宜選択しながら患者さんと二人三脚で治療にあたりますが、治療過程では「初期脱毛」という症状が見られることがあります。
この症状は心配いらないものですが、予期していない患者さんは驚いてしまうこともあるので、本章では初期脱毛がなぜ起こるのか、なぜ心配する必要がないのかについて解説していきます。
初期脱毛とはどういうもの？
初期脱毛は本格的なAGAの治療開始から間もなくして、抜け毛の量が一時的に増える症状です。患者さんは長い間抜け毛や薄毛に悩み、勇気を出して医師に相談することを決意されたはずです。「市販薬よりも高価の強い処方薬を使って治療しているのだから、今より悪い状態になることはないだろう」と考えるのが普通でしょう。その期待と裏腹に突然抜け毛が増えるわけですから、驚かれるのも当然です。
個人差がありますが、初期脱毛は本格的な治療開始から二週間～三週間頃に始まることが多く、これに驚いて治療を止めてしまう人がたまにいます。非常に勿体ないので、なぜ初期脱毛は心配いらないのか正しい知識を身に付けてもらいたいと思います。
初期脱毛は治療薬が効いている証拠
AGAの治療ではメインとなる投薬治療で複数の治療薬を使用します。患者さんの体の中では、薄毛を引き起こす男性ホルモン（ジヒドロテストステロン：「DHT」）が多く生産されています。DHTは次項で説明するヘアサイクルを乱して髪の毛が正常に育てない状態にするため、薄毛が進行するのです。治療ではこのDHTを抑制することが必須となり、そのためにフィナステリド製剤を使用します。
乱れたヘアサイクルがフィナステリドによって、正常化されることで起きるのが初期脱毛です。初期脱毛は治療薬がよく効いている証拠になるので、悲観する必要は全くないのです。この理屈をさらに深く理解するために、次の項ではヘアサイクルの仕組みを見ながら初期脱毛が起きる場面を見てみます。
初期脱毛は新しい髪の毛が成長する過程で起きる
正常なヘアサイクルは、およそ2年～6年程度の成長期と、髪の成長が止まる二週間程度の休止期、脱毛して新しい髪を生やす準備をする3か月程度の休止期を順番に繰り返しています。AGAを発症するとこのヘアサイクルが狂ってしまい、髪の毛を成長させる成長期が極端に短くなり、十分に成長させることができないため細く弱い髪の毛が多くなります。
フィナステリドやミノキシジルなどの効果の高い治療薬を使用することで、ヘアサイクルは正常に戻り始め、新しい髪の毛を成長させるパワーが高まります。休止期の状態にある毛根には古い髪の毛が残っていますが、その下から新しい髪の毛が通常よりも早く成長してくるため、古い髪の毛が一斉に抜け始めます。これが初期脱毛の正体です。身
近な例を挙げるとすれば、シャーペンの芯が残りわずかになった時には、カチカチして新しい芯を出そうとしますよね。短い芯はそのまま押し出されて新しい芯に入れ変わります。初期脱毛も仕組みとしてはこれに似ていて、古い髪の毛はいわばすでに死に体となった毛髪であり、これが新しく健康な毛髪と入れ替わるシーンで起きるものです。
初期脱毛で抜けてしまった毛髪はDHTの影響に曝された病弱な髪ですから、何も惜しいことはありません。初期脱毛後に生えてくる髪の毛は、正常なヘアサイクルから生み出される健康な髪の毛ですから、長い成長期間の間に太く、強く成長することができます。
初期脱毛は長くても三か月程度
心配ないことが分かっても、実際に抜けた髪の毛を見てしまうと悲しい気持ちになってしまうかもしれません。初期脱毛が続く期間は、個人差がありますが長くても3ヶ月程度です。気持ちの持ちようとしては、初期脱毛が終わった後のことを想像すると良いでしょう。抜けた髪の毛の下からは強く太い毛が生えてきていることを意識して、より理想に近づいているのだというイメージを持つことです。治療開始から半年程度経てば、新しく生えそろった髪の毛で治療の効果を実感できるでしょう。
初期脱毛は心配無用！どうしても不安なら医師のカウンセリングを
本章ではAGAの治療開始当初に起きることがある「初期脱毛」について見てきました。治療薬が効いている証拠ですから、初期脱毛は悲観する必要のないものです。どうしても不安で仕方がないという人は、主治医から丁寧なカウンセリングを受けると不安も和らぎます。
初期脱毛が起きても実際に薄毛を改善させた事例を見れば、納得度も高まると思います。当院でも不安な患者さんには丁寧なカウンセリングを心がけています。不安なく治療を進められるように配慮しておりますので、薄毛にお悩みの方はぜひ一度当院にご相談ください。